和音のすぐ左に、縦の波線がある。全部の音を同時に押すのか、一音ずつ弾くのか。さらに下向きの矢印が付いていると、どちらから始めるのか迷います。
ここでは、和音の前に付いた縦の波線で示すアルペジオを扱います。練習曲などで一音ずつ書かれた分散和音全般ではなく、縦に並んだ和音をどう鳴らすかの話です。
同時に並んだ音を、順にずらして鳴らす
Doricoの公式解説は、アルペジオ記号を、和音の構成音を素早く順番に鳴らす指示として説明しています。一般的な表示が縦の波線です。Flatも、和音の音を上向きまたは下向きに順次鳴らすものと説明しています。(資料1・2)
例えば、低い位置からド・ミ・ソと並んだ和音に上向きの指示があるなら、ド、ミ、ソの順に音をずらします。下向きならソ、ミ、ドの順です。これは説明用の音の配置です。
間にあるレやファまで自動的に足すわけではありません。まず鳴らす対象はどの和音の音なのかを確かめます。見た目が似た線だからといって、別の装飾や奏法まで一つの読み方で処理しないようにしましょう。
下から上が一般的だが、矢印を見落とさない
Doricoの説明では、上向きは和音の最低音から、下向きは最高音から始めます。通常、上向きの記号には矢印を付けず、下向きには下端の矢印を付けます。曲中で両方向を使う場合など、上端に上向き矢印を付ける表記もあります。(資料1)
| 通常の表記 | 確認する順序 |
|---|---|
| 縦の波線で、方向を変える指示がない | 低い音から高い音へ |
| 下端に下向きの矢印 | 高い音から低い音へ |
| 上端に上向きの矢印 | 低い音から高い音へ |
この表は一般的な表記の整理です。特殊な記号や出版社独自の凡例がある場合は、その説明を優先します。波線の形だけを覚えず、端に矢印が付いていないかまで見ることが大切です。
両手の譜面では、波線がどこまで届くかを見る
ピアノの大譜表では、右手側だけに線があるのか、上下の段にまたがるのかも確認します。Doricoの記号も、対象となる声部や段の音域にわたって表示する仕組みになっています。(資料1)
まず、線の上端と下端を見て、対象の音を書き出します。上下の段を一つの線が覆う場合と、それぞれに別の線がある場合を、同じ見た目として飛ばさないようにします。
一つながりに鳴らすのか、両手の開始をどう合わせるのか迷う譜面は、その範囲を先生に示して確認してください。「左手だから必ず先」「右手だから必ず後」と手の名前だけで決めるより、指示がかかる音の範囲と方向を先に読むほうが整理できます。
音の順序と、拍に合わせる位置は別に考える
上向きだと分かっても、最初の低音を拍の頭へ置くか、上の音を拍に合わせるかといった具体的な扱いまでは、この基本説明だけでは決まりません。曲の様式、旋律や伴奏との関係、教材の指示を確認する部分です。
「一音ずつだから」と、勝手に音の数だけ拍を増やす読み方は避けます。まず和音全体が楽譜のどの時点に置かれているかを見て、その周囲の流れにどう収めるかを相談しましょう。
例えば「低い音から始めることは分かったが、旋律のこの音と同時に聞かせるのはどの音か」と聞けば、速く転がすだけの練習ではなく、音楽の中での位置を確かめられます。
最初はゆっくり順番を確かめ、その後で間隔を整える
自宅では、波線をいったん脇に置き、鳴らす音を順に確認します。次に上向き・下向きの違いをゆっくり試し、意図した順序で押せるかを見ます。これは構成音と方向を確認する練習で、完成時にも一音ずつ長い拍を与える指示ではありません。
順序が分かったら、先生に確認したタイミングで前後の音へつなぎます。手が届きにくいときも、速さでごまかしたり、無理に広げたりする前に、指使いや担当する音を相談しましょう。
最後は、アルペジオの和音だけで止めず、その次の一音までを聞きます。波線を見つけたら、対象の音、上下の方向、前後の拍との関係の三つを確認する。これが、記号を覚えてから演奏へつなげる出発点になります。
参考資料
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Steinberg — Dorico Pro 6.1: Arpeggio signs https://www.steinberg.help/r/dorico-pro/6.1/en/dorico/topics/notation_reference/notation_reference_arpeggio_signs/notation_reference_arpeggio_signs_c.html
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Flat — Add/Remove a Arpeggio https://help.flat.io/en/music-notation-software/arpeggio/
確認日:2026-10-10