伴奏に合わせて練習したいけれど、速くて指が追いつかない。音源をゆっくりにしたら、今度は曲の高さまで変わってしまった。そんなときは、選んだ操作が「速さだけ」を変えるものか確かめます。
ここで扱うのは、音声ファイルを練習しやすい速さへ加工する方法です。提出用のサンプルレートを合わせる操作や、MIDIの音符を並べ直す操作とは分けて考えます。
Change TempoとChange Speed and Pitchは目的が違う
Audacityの公式マニュアルでは、Change Tempoは音程を変えずに選択範囲のテンポと長さを変える機能です。Change Speed and Pitchは速さと音程の両方を変えます。(資料1・2)
本来の音程に合わせて歌ったり弾いたりしたいなら、まずChange Tempoのような目的に合う機能を選びます。「速度を変更」という似た言葉だけを頼りに、別の処理を重ねないようにしましょう。
まず短いフレーズを選び、変化量を決める
マニュアル上の入口は「Effect > Pitch and Tempo > Change Tempo」です。変化率、変更前後のBPM、目標の長さなどから設定でき、それぞれの欄は連動します。(資料1)
BPMが分かる一定テンポの練習音源なら、例えば120から90へ下げる場合、速さは元の75%です。変化率で表すとマイナス25%になります。これは120と90から計算した例で、「25%の速さで再生する」という意味ではありません。
元のBPMが分からないのに、分かったことにして値を入れる必要はありません。短い区間のプレビューを聞き、自分が無理なく追える変化量から試します。曲全体を最初から大きく減速するより、比較する場所を決めておくほうが違いを判断しやすくなります。
音程を保つ機能でも、音質が変わらない保証はない
Change Tempoには高品質のストレッチ処理を選ぶ項目があります。ただし、公式マニュアルは極端な変更で音がゆがむ可能性や、処理方式によって短い欠落や響きの変化が生じ得ることも説明しています。(資料1)
「音程を変えない」と「元の音が完全にそのまま」は別です。速い打楽器の立ち上がり、歌の子音、長く伸ばす音など、自分の課題に関係する箇所を聞いて確かめます。
大きく遅くすると不自然なら、変化量を小さくする、練習区間を短くする、といった方法もあります。音を加工し続けることではなく、拍や指の動きを確かめられる音源にすることが目的です。
加工する前の音源を、比較用に残す
本記事では、元音源とは別のコピーを使い、ファイル名に練習用の速さを添えることを提案します。毎回加工済みの音へ重ねて処理するのではなく、比較の基準になる元データを残してください。
参照マニュアルには、音量エンベロープ(時間に沿って音量を変える線)を伴う素材への適用に不具合の注意があり、すでに速度変更したクリップへ効果を加える場合の処理も説明されています。(資料1)手元の版の案内と照合し、編集済みの大切なプロジェクト全体へいきなり適用しないようにします。
書き出した音源で、音程と練習区間を確認する
練習用に別名で書き出したら、できた音声を実際に再生します。速さが意図どおりか、冒頭や末尾が欠けていないかを元音源と比較してください。
先生へ相談する場合も、「この部分を120から90へ落とした音源で練習しています」のように、加工した条件を伝えます。元の演奏の速さと練習用の速さを混同しなければ、何ができるようになったかを共有しやすくなります。
参考資料
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Audacity — Change Tempo https://manual.audacityteam.org/man/change_tempo.html
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Audacity — Change Speed and Pitch https://manual.audacityteam.org/man/change_speed.html
確認日:2026-10-11