メトロノーム60なのに速さが違う?音符の単位と6/8拍子の合わせ方

先生と同じ「60」にしたつもりなのに、メトロノームがずいぶん速く感じる。数字が合っていても、その一回の音をどの音符に当てるかが違うと、演奏の速さはそろいません。

特に6/8拍子では、八分音符を一つずつ刻むのか、大きな二つのまとまりを感じるのかを分けると、設定の意味が見えやすくなります。

テンポの数字と、その横の音符を一組で読む

「四分音符=60」なら四分音符が一分間に60個、「付点四分音符=60」なら付点四分音符が一分間に60個進む速さです。同じ数字でも、基準にしている音符が異なります。

音楽理論教材Open Music Theoryは、付点が元の音符の長さの半分を加えることを説明しています。(資料1) 付点四分音符は、四分音符とその半分を合わせた長さ、つまり八分音符三つ分です。

楽譜にテンポの指示がある場合は、数字だけメモせず、音符の形も写しておきましょう。手書きなら「四分=60」「付点四分=60」と文字で残す方法があります。

6/8は、八分音符六つを二つのまとまりで捉える

Open Music Theoryの拍子の解説では、6/8は一拍を三つに分ける複合拍子で、大きな拍が二つある形です。一小節には八分音符が六つ入り、大きな一拍は付点四分音符になります。(資料2)

数えるなら「1・と・と、2・と・と」のように、三つずつのまとまりを意識する方法があります。これは数え方の一例で、声に出す言葉を固定する規則ではありません。先生から指定された数え方があれば、それに合わせます。

練習のために八分音符を六つ数えることと、大きなまとまりを二つとして捉えることは両立します。

同じく八分音符が六つ入る3/4拍子と、同じまとまりで扱うわけではありません。音符の総数だけでなく、どこを大きな拍と感じるかが違います。(資料2)

細かく刻むなら、数字も換算する

付点四分音符=60で、八分音符を一つずつ同じ速さで刻みたい場合は、60×3=180です。一方、四分音符=60を八分音符で刻むなら、60×2=120になります。

元のテンポ指定 八分音符を一つずつ鳴らす場合
四分音符=60 一分間に120回
付点四分音符=60 一分間に180回

これは音符の長さから計算した関係です。180まで速く弾く練習を勧めているのではなく、同じ演奏の速さを別の刻み方で表しています。

メトロノームに細分音を鳴らす機能がある場合は、大きな拍の設定を保ったまま細かい音を加えられることもあります。数字を三倍にする操作と細分機能を同時に使い、意図せず刻みを増やさないようにします。

拍子のボタンだけで、意図した設定とは決まらない

「6」という表示を選んだから、そのまま先生と同じ6/8の感じ方になるとは限りません。機器が何を一拍として数え、どこにアクセントを置くかを説明書で確認します。

KORG TM-70Fは、拍子とリズムのパターンを備えています。ただしチューナーと同時に使う場合には、三連符など一部のパターンを選べない制限があります。(資料3) 欲しい刻みが選べないときは、故障や操作ミスと決めず、同時使用している機能も確かめましょう。

これはTM-70Fの例で、アプリや他のメトロノームに同じボタンや制限があるという意味ではありません。

レッスンでは、数字より「何を一回と数えるか」を聞く

「60で練習してきました」に加えて、「一回を付点四分音符として、大きく二つで数えました」と伝えると、練習条件を共有できます。合わせにくい場合も、いきなり速さを変えるより、最初に一緒に数えてもらう方法があります。

家では、楽譜の指定、メトロノームの数字、一回の音に当てた音符を一組で残します。数字だけを合わせる練習から抜け出すことが、同じテンポで確かめるための第一歩です。

参考資料

  1. Open Music Theory — Rhythmic Values https://open-musictheory.github.io/docs/fundamentals/rhythmic-values/

  2. Open Music Theory — Meter https://open-musictheory.github.io/docs/fundamentals/meter/

  3. KORG — TM-70F https://www.korg.com/jp/products/tuners/tm_70f/

確認日:2026-10-08