不要な部分を切っただけなのに、つなぎ目で「プツッ」と鳴る。録音全体にノイズ除去をかける前に、編集した境界で音が急に変わっていないかを確かめます。
ここではAudacity 3.7系の公式マニュアルを基準に、短いフェードとCrossfade Clipsを使い分けます。元の録音全体に続く雑音や、録音時から入っていたひずみを、一つの操作で直す説明ではありません。
一方の音を消すのか、二つの音をつなぐのか
フェードは、選択した範囲で音量を徐々に変える処理です。Fade Outは元の音量からゼロへ、Fade Inはゼロから元の音量へ変化させます。クロスフェードは、一方を下げながら他方を上げてつなぐ考え方です。(資料1・2)
例えば、演奏の末尾を無音へ終わらせたいなら、その音の終わりを短くフェードアウトする方法があります。別テイクへつなぐなら、二つの音が混ざる範囲をどう作るかも考えます。
何ミリ秒がいつでも正解という固定値は置きません。切った場所の性質や、残したい子音、弦のアタックによって、短く試して聞き直す必要があります。
短い範囲から試し、音の出だしを削りすぎない
まず元データを残し、境目の周囲を拡大します。フェードを使う場合は対象の端の短い音声を選び、「Effect > Fading > Fade In」または「Fade Out」を使います。(資料2)
長く選べば丁寧になるとは限りません。クリックが気にならなくなっても、歌の最初の子音や、ピックが弦に当たる音まで弱くなっていたら、練習上の聞きたい部分を変えてしまいます。
本記事では、境目だけを何度も鳴らすのではなく、一つ前の音から次の音までを聞くことを提案します。処理前のコピーと交互に比べ、必要な演奏まで失っていないかを確認してください。
Crossfade Clipsは同じトラックの二つのクリップに使う
Crossfade Clipsの公式手順は、二つのクリップを同じトラックに置き、前のクリップの末尾と後ろのクリップの先頭を、おおむね同じ量だけ選ぶものです。入口は「Effect > Fading > Crossfade Clips」で、設定画面に数値を入れるのではなく、選んだ音声に処理が行われます。(資料3)
別々のトラックにある二つの演奏を、そのままこの機能でつなぐ操作ではありません。また、選択できるクリップは各チャンネルで二つまでで、選択の始点・終点を空白部分に置かない条件があります。(資料3)
連続した一つのクリップでも、選択範囲の前半と後半をクロスフェードする動作があります。(資料3)曲全体を選んで、クリックだけを自動検出して直す機能だと思わないようにします。
空白を保つことや、隠れた音を残すこととは別
Crossfade Clipsでは、二つのクリップ間の空白は無視されます。つなぎ目にある、クリップの端の外へ隠れていた音声データは破棄されると説明されています。(資料3)
したがって、「見た目の境目だけをなめらかにして、時間や元データは全部そのまま」とは扱えません。伴奏や他の録音と位置を合わせているなら、処理後に次の音の位置と同期を確認します。
空白の長さを残す必要がある場合は、すぐにクロスフェードへ進まず、片側の短いフェードで目的を満たすかをコピーで試します。どちらの場合も、元の編集用データを残してから比較してください。
クリックが残る場合は、原因の範囲を広げすぎない
境目を直しても同じ音が残るなら、処理前にもその場所で鳴っていたかを聞きます。編集点と無関係な音なら、今回の処理を何度も重ねる理由にはなりません。
「この位置を切った後に鳴り始めた」「短いフェードで変わったが歌い出しも弱くなった」と記録すれば、相談時に状況を伝えやすくなります。
最後は書き出した音声でも前後を聞き、音のつながりと演奏のタイミングを確認しましょう。静かな境目にすることと、必要な音を残すことの両方が仕上がりの条件です。
参考資料
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Audacity — Fade and Crossfade https://manual.audacityteam.org/man/fade_and_crossfade.html
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Audacity — Fades https://manual.audacityteam.org/man/fades.html
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Audacity — Crossfade Clips https://manual.audacityteam.org/man/crossfade_clips.html
確認日:2026-10-12