Audacityで長い練習録音を曲ごとに分けるには?会話を入れないラベルの付け方

リハーサルを通して録音すると、曲だけでなく、曲間の相談や準備の音も一つのファイルに入ります。先生へ二曲だけ渡したいとき、曲ごとに何度もコピーするより、書き出したい区間に目印を付ける方法があります。

Audacityのラベルは、音声の中の位置や範囲を示すものです。ここでは3.7系の公式マニュアルに沿って、元の録音を残したまま必要な曲を別ファイルにする考え方を説明します。

曲の始まりだけでなく、終わりも決める

ラベルには、一つの時点を示す「点ラベル」と、始まりから終わりまでを示す「区間ラベル」があります。ラベル自体には音声は入っていません。(資料1)

曲の先頭へ点ラベルを置く方法では、次のラベルまでが一つの出力範囲になります。最後の点ラベルからは録音の末尾までが対象です。一方、区間ラベルなら、その範囲だけを書き出せます。(資料2)

例えば、一曲目が終わった後に長い相談が入り、それから二曲目が始まる録音を考えます。一曲目の始まりにだけ印を付けると、相談まで一曲目のファイルに入ることがあります。曲間を除きたい今回は、曲ごとに始点と終点を持つ区間ラベルが分かりやすい選択です。

演奏の余韻まで聞いて、区間ラベルを付ける

波形上で必要な区間を選び、「Edit > Labels > Add Label at Selection」からラベルを追加します。名前を入力し、Enterで確定するのが公式の手順です。ラベルの開始・終了時刻はLabel Editorでも編集できます。(資料1)

終点は、波形が急に小さくなった位置だけで決めないでください。最後の音の余韻を残したいなら、その後まで聞いてから範囲を決めます。相談が始まる場所と重なっている場合も、どこまで渡すかを耳で確認します。

本記事では、最初は「song-a」「song-b」のように短く区別できる名前を付けることを勧めます。ラベルには曲名、別のメモには演奏上の相談内容、と役割を分けておくと、ファイル名を確認しやすくなります。

書き出しの基準は「Labels」を選ぶ

「File > Export Audio」で「Multiple Files」を選び、分割の基準を「Labels」にします。「Tracks」は音声トラックごとに分ける別の選択肢です。複数ファイルの書き出しでは、その時点で波形をドラッグして選んだ範囲は、出力範囲を決める基準になりません。(資料2)

ラベルトラックが複数ある場合、使われるのは、その中で最も上にあるものです。書き出したい音声トラックは、そのラベルトラックより上へ置きます。音声が複数あれば、それらを混ぜた音が対象になり、Muteで除外できます。(資料1・2)

練習メモ用の別のラベルトラックが上に残っていると、意図した曲分けにならない可能性があります。曲分け用が最初のラベルトラックになっているか、その上に必要な録音があるかを確認しましょう。

最初の曲も区間ラベルで指定したなら、「Include audio before first label」は通常必要ありません。この項目を使うかどうかは、最初のラベルより前の音も別ファイルで渡したいかで決めます。(資料2)

音源が複数あるなら、曲分け以外の条件も確認する

例えば伴奏と歌が別トラックなら、今回渡したい組み合わせを再生して確かめます。複数ファイル書き出しでは、MuteやSoloによって再生対象から外れて灰色になったトラックは出力されません。(資料2)

曲名のラベルを作っただけで、歌と伴奏の選び方まで決まるわけではありません。ラベルは時間の範囲、音声トラック側の状態は入れる音の確認として、分けて見ます。

保存先には、元の録音とは別のフォルダを用意するのが安心です。ファイル名にラベル名を使う設定を選び、今回必要な曲数と、書き出し後のファイル数を照合します。

出力された音声を、一曲ずつ聞く

書き出した二曲を別のプレーヤーで開き、曲名、冒頭、末尾を確認します。特に、歌い出しが欠けていないか、最後の音が急に切れていないか、渡したくない会話が残っていないかを聞いてください。

ラベルを付けたプロジェクトも保存しておけば、後から範囲を調整できます。ラベルを含む編集情報はプロジェクトに保存されます。(資料1)元の長い録音を捨てずに、相手が必要な曲へすぐたどり着ける形で渡しましょう。

参考資料

  1. Audacity — Label Tracks https://manual.audacityteam.org/man/label_tracks.html

  2. Audacity — Exporting multiple audio files https://manual.audacityteam.org/man/export_multiple.html

確認日:2026-10-12