Audacityで複数の録音を一括処理するには?マクロの設定と書き出し先を確認

練習録音が増えると、同じ操作を一ファイルずつ繰り返すだけでも手間がかかります。Audacityのマクロを使えば、決めた順序の処理をまとめて実行できます。ただし、「全録音を自動で聞き分け、それぞれに最適な仕上がりへ直す」ものではありません。

ここではAudacity 3.7系の公式マニュアルを基準に、少数のコピーで結果を確かめてから、同じ条件の録音へ広げる使い方を考えます。

マクロに任せるのは、すでに決めた手順

マクロは、あらかじめ設定した命令を、決められた順序で実行するものです。効果だけでなく、範囲の選択や書き出しなどの命令も扱えます。(資料1)

まず一つの録音を通常の操作で仕上げ、何をどの順に行ったかを確認します。そこで結果に迷っているなら、その迷いまで大量のファイルへ広げる必要はありません。

例えば、すべてのファイルで同じ形式へ変換したい作業と、録音ごとに雑音の性質を聞き分けたい作業では、任せやすさが違います。今回固定できる処理を先に決めてから、マクロへ移しましょう。

ProjectとFilesで、対象が違う

マニュアルでは、ToolsメニューのMacro Managerで作成・編集・テストし、Apply Macroから実行する流れが案内されています。「Apply Macro to」のProjectは現在のプロジェクト、Filesは同じフォルダ内で選んだ外部音声ファイルを対象にします。(資料1)

いま開いている一つの録音へ使うのか、保存してある複数ファイルへ使うのかを間違えないようにします。最初は原本とは別のテスト用フォルダへ少数のコピーを置き、Filesでそのコピーだけを選ぶ方法が確認しやすくなります。

マクロ自身にSelectなどの選択命令を入れられるため、画面で選択していた範囲が、そのまま最後まで対象になるとは限りません。(資料1)効果の名前だけでなく、その前に対象を変える命令がないかも見ます。

効果の名前だけでなく、設定値も入れる

公式マニュアルは、マクロで使う命令には設定値を明示することを強く勧めています。設定しなければ、手動でその効果を使った際の最後の値が使われるためです。(資料1)

「Normalizeを入れたから、いつも同じ結果になる」と名前だけで判断せず、目標値や関連する項目を開いて確認します。何をそろえる効果なのかが曖昧なら、先に単体の機能を確かめてください。

また、マクロ内の設定は、次に手動で同じ効果を開く際の最後の設定値を変えないと説明されています。(資料1)手動の画面だけを見て、マクロの中もその値だと思い込まないことが大切です。

加工する命令と、ファイルへ出す命令を分ける

一括処理のあとに別の音声ファイルを残したいなら、Exportの命令が含まれているかを確認します。マクロが効果を適用することと、目的の形式で音声を書き出すことは別の工程です。(資料1)

書き出し先はDirectories PreferencesのMacro outputで指定します。そこに出力用のフォルダを設定すると、その中に「macro-output」フォルダが作られ、出力先になります。(資料1)

既定の保存場所を探し回るより、テストでは自分で確認しやすい出力先を指定し、処理前に空かどうかを見ておきます。以前の出力が混じると、新しいファイルの数や日時を取り違えやすくなるためです。

数がそろっていても、音の確認は残す

テスト後は、選んだ入力と出力の数、ファイル名、形式を照合します。そのうえで、実際の音声を再生して、冒頭、強い箇所、末尾を確認します。ファイルができたことと、必要な演奏を保てたことは同じではありません。

私は、静かな録音と音の大きい録音など、条件の違う例を少数選んで試すのがよいと考えます。一つだけうまくいった結果を、録音条件の違うファイルまでそのまま広げないためです。

処理に合わない録音があれば、その録音だけを個別作業へ戻せばよいのです。まとめて終わらせることより、元の音を残し、どの操作を加えたか説明できる状態で渡すことを優先しましょう。

参考資料

  1. Audacity — Macros https://manual.audacityteam.org/man/macros.html

確認日:2026-10-12