pは弱く、fは強く。言葉は覚えたけれど、実際にはどれくらい違えばよいのでしょうか。「pは音量を半分にする」と考えると、曲や楽器が変わったときに迷いやすくなります。
強弱記号は、同じ数字の音量へ合わせるためのメーターではありません。まず記号の関係を読み、その曲の前後でどんな違いを作るかを考えましょう。
六つの記号を、関係として覚える
ピアノ学習サービスflowkeyは、pを静かに、fを大きく、mezzoをその中間寄りの意味として説明しています。ppはとても弱く、ffはとても強く、という関係です。(資料1)
| 記号 | 読み方 | 基本的な意味 |
|---|---|---|
| pp | ピアニッシモ | とても弱く |
| p | ピアノ | 弱く |
| mp | メゾピアノ | やや弱く |
| mf | メゾフォルテ | やや強く |
| f | フォルテ | 強く |
| ff | フォルティッシモ | とても強く |
弱い側から強い側への並びを示した表で、各段階の音量差が等しいという表ではありません。ppがpの半分、ffがfの二倍、と計算するための記号でもありません。
楽器名の「ピアノ」と、強弱を表す「ピアノ」は、ここでは役割を分けて読みます。ピアノの楽譜にpがあっても、楽器を変更する指示ではありません。
同じpに、すべての曲で共通する固定音量はない
flowkeyの解説は、強弱には厳密に一つの「正しい音量」があるわけではなく、表現の余地があるとしています。(資料1)だからこそ、pの一音だけを取り出して合否を決めるより、前後を含めて聞く必要があります。
例えば、静かな出だしのpと、強いフレーズから戻ってきたpでは、何と対比させたいかが違います。「pの音量を思い出す」だけでなく、「ここで一度落ち着かせたい」「次のfへ余地を残したい」と考える方法があります。
この言い方は練習のための解釈例です。実際にどんな表情を目指すかは、その曲の指示やレッスンのお手本と合わせて決めます。記号が相対的だからといって、書かれたpとfの違いを無視してよいわけではありません。
fにすると速く、pにすると遅くなっていないか
強弱の練習では、同じ短いフレーズを、まず同じ速さのままpとfで弾き比べてみます。「強く弾こう」としたときに拍まで急いでいないか、「弱く弾こう」としたときに途中で止まっていないかを確認します。
これは強弱と時間を切り分けるための練習です。すべての曲でテンポを一定にする指示ではありません。速度の変化も書かれている箇所は、別の指示として加えます。
弾きにくいときは、いきなり曲全体を試すより、無理なく弾ける数音へ範囲を縮めます。fのために鍵盤をたたきつけたり、pで音が出なくなるほど慎重になったりする前に、先生に同じ箇所を弾いてもらい、どの違いを聞くかを確かめましょう。
両手の音を、全部同じ強さにするとは限らない
ピアノでは、全体を静かにしたい場面でも、何を聞かせたいかを考える余地があります。例えば右手が旋律、左手が伴奏という課題なら、「両手とも小さくしたが、旋律まで分からなくなった」という状態を避けたいところです。
まず片手ずつ確かめ、次に合わせて、旋律を追いながら聞いてみる練習が考えられます。これはその課題で右手が旋律を担当する場合の例で、「右手はいつでも強く、左手はいつでも弱く」という規則ではありません。旋律の担当が変われば、聞く対象も変えます。
譜面で左右や声部に別の強弱指定がある場合は、その指定を見落とさないようにします。分からないときは「全体のpを保ちながら、この旋律はどのくらい聞こえるようにしますか」と質問すると、単なる音量の大小から一歩進めます。
聞き比べるときは、機器の音量を途中で変えない
電子ピアノや録音で確かめる場合、pとfを比べる途中で本体や再生側の音量まで変えると、演奏による違いを比べにくくなります。比較する区間では同じ条件を保ち、聞きやすい無理のない音量で確認しましょう。
レッスンのメモも、「もっと大きく」だけでなく「このpから次のmfへの差を作る」「伴奏に埋もれない旋律を残す」と書くと、家で試すことが具体的になります。記号の意味を覚えた後は、前後の関係を自分の耳で確かめる練習へつなげてください。
参考資料
- flowkey — How to Read Piano Notes: The Essentials for Learning Piano(Dynamics) https://www.flowkey.com/en/piano-guide/reading-notes
確認日:2026-10-10