フェルマータは必ず2倍?伸ばす長さと合奏の戻り方を確かめる

フェルマータの付いた音を「いつもの二倍」と数えていたら、伴奏者はまだ伸ばしていた。逆に、お手本をまねて長く待ったら、次の音へ入り遅れた。こうした場面では、長さの暗記だけでなく、音を終える合図と、演奏を再開する合図を分けて考えます。

フェルマータの記号だけでは、どの曲でも同じ倍率や秒数に決まるわけではありません。 まず記号の意味を押さえ、その曲での扱いを確認しましょう。

「記譜より長く」と「必ず二倍」は別

Flatの公式ヘルプは、フェルマータを、音を決まった長さに限定せず保持できる指示として説明しています。(資料1)「元の音符の長さを必ず二倍にする」といった共通の計算式を与える記号ではありません。

例えば、四分音符を一拍で数える練習中に、先生が「今回はここを二拍くらいにしてみよう」と指示したとします。それは、その練習で再現するための目安です。次の曲のフェルマータにも、自動で同じ倍率を当てはめる必要はありません。

長さを決めなくてよい、ということでもありません。一人で弾く場合にはフレーズ全体を聞き、誰かと演奏する場合には共通の扱いを決める、という次の判断が残ります。

音符にあるか、休符にあるかを先に見る

Flatには、音符または休符を選んでフェルマータを付ける説明があります。(資料1)休符にあるフェルマータを見て、新しく音を出すわけではありません。何を伸ばす位置なのかを読み分けます。

自分の譜面にある位置 練習前に確認したいこと
音符 どの音を保持し、どこで終えるか
休符 音を出さずに待つ区間と、次の入り方
判断しにくい位置 前後を含む譜面で、何に付いた記号か

この表は、特殊な表記を含むすべての楽譜の自動判定ではありません。小節線上の指示などもあるため、記号だけを切り抜かず、実際の配置と注記を見ます。

合奏では「終わる」と「入る」を別に合わせる

伴奏と練習するなら、フェルマータの少し前から、その後のフレーズまでを一緒に試します。確認したいのは、「どのくらい伸ばすか」だけではありません。

まず、誰の合図で音を終えるのかを決めます。続いて、音を切った直後に進むのか、間を置いて次へ入るのかを確認します。「先生がうなずいたら終える。次の合図で再開する」のように、練習中の取り決めを具体的にすると、長さを一人で数え続ける必要が減ります。

これは合わせ方の提案で、すべての合奏で同じ動作を使う規則ではありません。指揮者や伴奏者がいる場合は、その場の指示を優先してください。

録音へ合わせる練習と、生の合奏を分ける

固定された伴奏音源に合わせるなら、音源のどこで伸ばし終え、次に何が聞こえたら入るかを確認します。実際に合わせる音源と違う演奏を聞いて、待つ長さだけを持ち込まないようにしましょう。

自分の練習録音を聞き直す場合は、伸ばした部分だけでなく、直前と直後を含めて聞きます。「長くしたけれど、次の入り方が急になった」「余韻を待つうちに、次の拍の準備を忘れた」など、直したい箇所を分けてメモできます。

曲の途中で息や手の準備が間に合わない場合も、それを埋めるためだけに毎回待ち時間を増やす前に、どこで準備するかを相談しましょう。

ソフトの再生倍率を、演奏の唯一の正解にしない

Dorico Pro 6.1は、フェルマータの再生に音の保持と間を使い、記譜された長さに対する割合などで扱います。また、個別の保持時間や間の長さを変更できます。(資料2)これはソフトが再生を実現する仕組みです。

その設定値を見て「音楽では必ずこの割合」と逆算しないでください。再生が先生のお手本と違っても、先に音符を増やして帳尻を合わせるより、記譜の意味と再生設定を分けて確認するほうが整理しやすくなります。

練習メモには、倍率だけではなく「この音を保持する/この合図で終える/次はここから入る」を残します。フェルマータを長さのクイズで終わらせず、その後まで音楽をつなぐ準備に使いましょう。

参考資料

  1. Flat — Add/Remove Fermata https://help.flat.io/en/music-notation-software/fermata/

  2. Steinberg — Dorico Pro 6.1: Holds and pauses in playback https://www.steinberg.help/r/dorico-pro/6.1/en/dorico/topics/notation_reference/notation_reference_holds_pauses/notation_reference_holds_pauses_playback_r.html

確認日:2026-10-10