歌いやすい高さへ楽譜を下げたはずなのに、伴奏と合わない。Flatで音の高さをまとめて変えるときは、「どれだけ動かすか」の前に「どこを動かすか」を確認します。
この記事で扱う移調は、楽譜の音の高さを変える編集です。音量の調整や再生速度の変更ではありません。自作曲など、編集してよい譜面を使って進めましょう。
何も選ばないと、総譜全体にはならない
Flatの公式ヘルプでは、移調ツールを開く前に音符を選ぶと、その選択範囲へ処理がかかります。何も選ばない場合は、カーソルがあるパート全体が対象です。楽器すべてを含む総譜全体ではありません。(資料1)
例えば歌とピアノの二つのパートがあり、歌のパートにカーソルを置いたまま操作したとします。何も選んでいないから全体が変わる、とは考えないでください。
まず「歌のこの部分だけ」「歌のパート全部」「伴奏を含む全体」のどれかを決めます。全体を変える場合、公式案内ではWindowsはCtrl+Shift+A、MacはCmd+Shift+Aで総譜を選ぶ方法が示されています。(資料1)
半音数・音程・調の指定を混ぜない
Web版では、対象を選んでから「Notation」の「Pitch and Representation」にある「Transposition」を開く手順です。音程、移調前後の調、半音数で指定でき、プレビューを確認して適用します。(資料1)
「半音二つ下げたい」と決まっているなら、その意味に合う指定を使います。調や音程の名前が分からないまま、似た表示を選んで全曲へ適用しないほうがよいでしょう。先生から指定があれば、その言葉を操作画面と対応させます。
なお、キーボードの上下矢印は、公式案内では音階に沿って音を上下させる操作です。矢印を二回押したことを、そのまま「半音二つ移動」と読み替えません。(資料1)
調号とコードを残すか、動かすかも確認する
「Show more options」には、調号を更新する「Update key signature」と、コードを更新する「Update chords」があります。公式ヘルプでは両方が標準で有効になっており、無効にすると該当する表記を残すと説明されています。(資料1)
音符を変えたのにコード表記を元のまま残せば、それを見て伴奏する人と条件がずれるかもしれません。一方、意図的に表記を残す編集もあるため、何でも有効にすればよいという話ではありません。
変更前に「音符」「調号」「コード」の三つを、どの状態にそろえたいか決めます。後から見つけた記号を一つずつ直すより、適用する前に設定を見たほうが見通しが立ちます。
楽器の交換は、別の目的の操作
同じ公式ページには、パートの楽器を交換して移調する方法もあります。この操作は楽器の設定と再生音を変更します。一方、移調ツールは楽器をそのままに、選んだ音符を動かす機能です。(資料1)
単に歌いやすい高さを試すことと、別の楽器用のパートへ作り替えることは分けましょう。ボタンの名前に移調と関係する言葉があっても、目的まで同じとは限りません。
また、音程・調・半音数を指定する移調ツールは、公式ヘルプではFlat Powerに含まれる有料機能です。楽器の交換など別の方法と、利用条件を混同しないようにします。(資料1)
最後は、一緒に鳴らす相手と同じ条件にそろえる
適用後は、変更したパートだけでなく、伴奏を含めて短い範囲を聞きます。楽譜でも、対象外にした部分との境目、調号、コード表記を見直します。
先生へは「全曲を半音二つ下げました。伴奏とコードも同じ対象にしています」のように、変更量と対象を一組で伝えると確認しやすくなります。音の高さが合わなければ、さらに移調を重ねる前に、元の譜面と一度比べてください。
ソフトが処理を終えたことと、全員が同じ条件で演奏できることは別です。練習を始める前に、動かした範囲までそろえておきましょう。
参考資料
- Flat — How to transpose sheet music in Flat https://help.flat.io/en/music-notation-software/transpose/
確認日:2026-10-12