Flatで長い音に短い旋律を重ねたい。和音入力と声部を分ける考え方

下の音は伸ばしたまま、上の音だけ細かく動かしたい。Flatへ一音ずつ入れると、順番に並んでしまう。和音として重ねても、二つの流れを思ったように分けられない。そんなときは、声部を分ける必要があるかを考えます。

ここでいう声部は、歌の声質ではなく、同じ譜表の中にある独立した音の流れです。見た目だけを上下に分ける操作とは区別しましょう。

同時に始まっても、終わる時刻は同じとは限らない

説明用に、四分音符を一拍として数える、二拍分の短い譜面を作るとします。下の声部には二分音符を一つ、上の声部には四分音符を二つ置きます。二つの声部は同時に始まりますが、途中で動くのは上の声部だけ、という自作例です。

下の音を短く書き直せば、入力は簡単になっても、伸ばす長さまで変わってしまいます。先に「どの音をいつまで続けたいか」を紙や言葉で整理します。

Flatの公式ヘルプは、同じ譜表で異なる長さやリズムの流れを同時に鳴らすために、複数の声部を使うと説明しています。(資料1)今回のように別々の長さを保ちたい場合に確認する機能です。

和音入力は、同じ位置へ音を重ねる操作

Flatの「Chord mode」は、音符を入力してもカーソルをその位置に保ち、同じ位置へ別の音を加えられる入力方式です。次の位置へは自分で移動すると案内されています。(資料2)

これは複数の音を重ねて入力するための機能です。「カーソルを止めて重ねる」ことと、「別々のリズムを進める声部を作る」ことを同じものとして扱わないようにしましょう。

すべて同じタイミングで始まり、同じ長さで鳴る和音を入れたいのか。片方は伸ばし、もう片方を動かしたいのか。その違いを先に決めます。

声部を切り替え、同じ時間の位置へ戻って入力する

公式案内では、声部のボタンから「Voice 2」を選び、声部を切り替えて入力します。同じボタンで声部間を移動でき、キーボードのVによる切り替えも案内されています。(資料1)

自作例を試す場合、まず片方の声部に二拍分を入力します。次にもう片方の声部へ切り替え、同じ小節の同じ開始位置を確認してから、もう一方の流れを入れます。

先へ進んだカーソル位置のまま入力すれば、同時に鳴らしたかった音が後ろへ続いてしまうかもしれません。声部番号だけでなく、開始位置もセットで確かめます。

片方ずつ譜面を追ってから、重なりを見る

入力後は、まず長い音の声部だけを目で追います。狙った位置から二拍分続いているか。次に上の声部が、その同じ二拍の中で四分音符二つになっているかを確認します。

この例で必要なのは、二つの流れが同じ時間幅を占めることです。下の二拍と上の二拍を足して、四拍分の音楽が後ろへ続くという構造ではありません。

休符がある譜面でも、その声部が音を出していない時間として確認します。分からない休符を見た目だけで消すより、元の譜面のどの声部に属するかを先生に聞く方法があります。

声部番号を、そのまま右手・左手にしない

声部を分ける目的は、独立した音の流れを表すことです。「Voice 1だから必ず右手」「Voice 2だから必ず左手」と、自分だけの固定ルールにしないようにします。

先生への相談では、操作名だけでなく「この音を伸ばしたまま、上の二音を動かしたい」と意図を伝えます。入力できたかに加えて、演奏者が読み取れる書き方になったかも見てもらえます。

声部を増やせば自動で正しい楽譜になるわけではありません。短い自作例で、時間の位置と音の長さを確かめてから、実際の曲へ広げていきましょう。

参考資料

  1. Flat — Working with voices https://help.flat.io/en/music-notation-software/addvoice/

  2. Flat — Chord mode https://help.flat.io/en/music-notation-software/chord-mode/

確認日:2026-10-12