短く引き締まった音にしたいのに、「コツッ」という音しか残らない。ミュートを練習するときは、まず「音程を残したいのか、打楽器のような音が欲しいのか」を分けてみましょう。
ここでは、ピックで弾く手をブリッジ付近に添えるパームミュートと、意図的なデッドノートの違いを扱います。鳴らしたくない弦を静かにしておくためのミュート全般を、すべて同じ奏法とする説明ではありません。
パームミュートは、響きを抑えながら音を残す
Fenderは、弦がブリッジにつながる付近に手を添え、振動を少し抑える方法としてパームミュートを説明しています。手の位置、押さえる強さ、弦を弾く強さを変えると、響き方も変わります。(資料1)
この説明で目指すのは、何の音か分かる短い響きです。手を添えた瞬間に全部の音が消えるなら、狙いより強く抑えていないかを確認します。
原資料の「右へ・左へ」という表現は、構え方を取り違えないため、本記事ではそのまま操作指示にしません。自分のギターのブリッジとネックを目印にして、手の位置を比べてください。
デッドノートは、音の高さよりリズムを聞かせる
楽譜作成サービスFlatの公式説明では、デッドノートは明確な音高を持たず、ギターやベースに打楽器的な響きを加える音として扱われています。Flatでは、通常の楕円の符頭に代えてx形を使います。(資料2)
そのため、デッドノートを狙った箇所で音程がはっきりしないこと自体は失敗ではありません。逆に、旋律やコードの音を残したい箇所を全部デッドノートにしてしまうと、必要な音が失われます。
ここでいうデッドノートは意図的な奏法です。普通に鳴らしたい音が楽器の状態によって詰まる、という不具合の診断とは区別してください。
一つの弦で、二つの響きを比べる
次は本記事の比較練習です。普段のチューニングで6弦の開放弦を一度鳴らし、余韻を聞きます。次に同じ強さを意識しながら、弾く手をブリッジ付近の弦へ軽く添えて鳴らします。
最初は手の位置だけを少しずつ変え、どこで音程と短い響きが両立するかを探します。その後で圧力を比べてください。位置と圧力と弾く強さを毎回同時に変えると、何が違いを生んだか分からなくなります。
一音ずつ「普通に鳴らす」「軽く抑える」を交互にすると、比較する基準を保てます。これは特定の曲の奏法指定ではなく、耳で違いを確かめるための例です。
音が消えすぎるなら、強く弾く前に戻す
「音が消えるから、もっと強く弾こう」とする前に、手を一度離して通常の音を確認します。その音が鳴るなら、もう一度軽い接触から始めましょう。
音程は残るが長すぎる場合と、最初から打音だけになる場合は、直したい方向が違います。録音できる環境なら二つを短く録り、自分が欲しい響きと比べるのも一案です。録音したことだけでフォームが適切だと判定できるわけではありません。
Andy Guitarの講師解説でも、手のひらだけでなく、押さえる側の手や指など、複数のミュート方法が挙げられています。(資料3)「ミュート」という一語から、どちらの手をどこへ置くかを決めつけないようにします。
譜面では、音を残す指示かどうかを確かめる
楽譜のxは、図の種類や記譜方法と併せて読みます。コード図で「その弦を弾かない」という表示なのか、演奏する打音の符頭なのかを区別してください。Flatの記号説明を、あらゆる教材へ無条件に当てはめないことも大切です。
レッスンでは、「短い低音を残したいのに打音になる」と、欲しい音と今の音をセットで伝えます。手を添える場所だけでなく、狙っている響きまで共有すると、確認すべき点が明確になります。
参考資料
-
Fender — 3 Keys to Ace Your Palm Muting https://www.fender.com/articles/techniques/3-keys-to-ace-your-palm-muting 確認日:2026-10-11
-
Flat — Dead notes available https://blog.flat.io/dead-notes-available/ 確認日:2026-10-11
-
Andy Guitar — Rock Rhythm 07 - String Muting(公開された説明本文) https://www.andyguitar.co.uk/videos/rock-rhythm-07-string-muting 確認日:2026-10-11