楽譜の最初にシャープがあるのに、途中でナチュラルが出てきた。その後、記号のない同じ音はどちらで弾くのでしょうか。答えを探すときは、楽譜の先頭にある調号と、音符の直前に付いた臨時記号を分けます。
調号は、曲のあいだの基準を示す
Open Music Theoryは、楽譜の各段の始まりに置く調号によって、一定の音名をシャープまたはフラットにすることを説明しています。例えばニ長調の調号ではファとドにシャープが付きます。(資料1)
調号の指定は、その音名について通常オクターブが変わっても読みます。「高いファには記号が見えないから自然のファ」とは考えません。途中で調号そのものが変わることもあるため、段の途中や調号変更の表示は確認してください。
小節途中の記号は、読み方を一時的に変える
Open Universityの音楽理論教材では、調号で指定されているファのシャープを、その小節の途中でナチュラルに戻す例が示されています。(資料2)
通常の五線譜では、音符の直前の臨時記号は、その場所から同じ小節内の同じ音名・オクターブの音に引き継がれます。途中で同じ音に別の臨時記号が付けば、その時点から新しい指定に変わります。休符を挟んだだけでは解除されません。(資料3)
| 表示の位置 | 最初に確かめること |
|---|---|
| 五線の初め、音部記号の後 | 調号として指定された音名は何か |
| 一つの音符の直前 | その音高に一時的な変更があるか |
| 小節線の後 | 前の小節の臨時記号ではなく、今の調号に戻して読むか |
小節線を越えたら、調号を基準に戻す
Texas A&Mの公開音楽理論教材は、臨時記号が同じ小節内の同じオクターブに限定され、小節線を越えてそのまま効くものではないと説明しています。(資料3)そのため、次の小節では基本的に調号を基準に読み直します。
ただし、小節線をまたぐタイでつながれた音は、元の音の高さを保って伸ばし、境目で鳴らし直しません。(資料4)例えば臨時記号で変えた音をタイで次の小節へ伸ばしているなら、その途中で調号の音へ変えるわけではありません。タイが終わった後の別の音は、改めてその小節の記号を確認します。
親切なナチュラルもある
前の小節の変更を読み違えないよう、なくても音が決まる場所へ確認用の臨時記号(注意喚起の臨時記号)が記される場合があります。(資料3)新しい変更だと決め付けず、その譜面の調号と前後を見ます。
楽譜の版や特殊な記譜法で違いが生じる場合は、出版社や講師の指定を優先してください。古い楽譜や複数声部の細かなルールまで、ここで一律に断定しません。
レッスンでは「どのファか」を伝える
「シャープが消えましたか」だけでなく、「ここは調号がファ♯で、この小節の二つ目のファだけナチュラル。その後の同じ高さのファもナチュラルですか」と尋ねると、勘違いの位置を伝えられます。
次の小節まで音を変えたまま覚え込む前に、調号・その小節・そのオクターブを一組で確認しましょう。
参考資料
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Open Music Theory — Key signatures https://open-musictheory.github.io/docs/fundamentals/key-signatures/
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The Open University — An introduction to music theory: 6.2 Accidentals in practice https://www.open.edu/openlearn/history-the-arts/music/an-introduction-music-theory/content-section-6.2
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Texas A&M University — Steps to Music Theory: The Basics II: Accidentals and Beats https://odp.library.tamu.edu/stepstomusictheory/chapter/more-basics/
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Steinberg — Dorico Pro 6.1: Ties vs. slurs https://www.steinberg.help/r/dorico-pro/6.1/en/dorico/topics/notation_reference/notation_reference_ties/notation_reference_ties_versus_slurs_c.html
確認日:2026-10-09