楽譜に普通より小さな音符があり、符尾に斜めの線が入っている。小さく書かれた音符は、どれも急いで弾けばよいのでしょうか。まず、普通の音符と装飾音符を見分け、斜線が付いているかどうかを確かめましょう。
小さい音符は、普通の音符と同じ数え方とは限らない
Steinbergの楽譜作成ソフトDoricoの公式ヘルプでは、装飾音符を普通の音符より小さく表示し、符尾に斜線がある種類とない種類を区別しています。(資料1)
ここでいう「装飾音符」は、主となる音の前後に添えられる小さな音符のことです。見た目の大きさが違うからといって、譜面上の拍を機械的に一拍追加するわけではありません。どの主音にかかっているかを最初に確かめます。
斜線あり・なしの基本的な違い
Doricoの説明では、斜線付きの装飾音符はアチャカトゥーラ(短前打音)と呼ばれ、多くの場合とても素早く演奏されます。斜線のないものはアポジャトゥーラ(長前打音)と呼ばれ、一般には短前打音よりゆっくり演奏されます。(資料1)
| 見た目 | 代表的な呼び名 | 基本的な手掛かり |
|---|---|---|
| 小さい音符の符尾に斜線 | 短前打音・アチャカトゥーラ | 素早く演奏することが多い |
| 小さい音符の符尾に斜線なし | 長前打音・アポジャトゥーラ | 短前打音より長く扱うことが多い |
「必ずこのミリ秒」「斜線があれば絶対に拍の前」という共通の計算式ではありません。作品の時代や楽譜の版、先生の解釈に従って具体的な位置を決める必要があります。
主となる音を先に見つける
小さい音符ばかり見ていると、後ろに続く大きな音符へ入る場所を見失いがちです。まず主音を指で示し、次に装飾音符が一つか複数か、スラーなどでつながっているかを確かめます。
練習では主音だけを拍に合わせて弾き、そのあと装飾を加えてみます。これは入る場所を確かめるための練習例であり、どの時代の作品でも同じ演奏が正解という説明ではありません。
ソフトの自動再生を唯一の答えにしない
Doricoでは装飾音符の斜線の有無を変更でき、初期設定では斜線付きで表示すると説明されています。(資料1)したがって「画面に斜線がある」ことだけで、演奏者が意図した解釈をすべて確定できるわけではありません。
楽譜の自動再生で聞こえた長さは参考にしつつ、曲の版や実際の演奏指示を確認します。特に短い装飾音が続く場合、再生ソフトの出力から必ず正しい指遣いが分かるわけでもありません。
先生に確認するときの伝え方
「この小さい音符には斜線があります。次の大きな音を拍のどこへ置く練習ですか」と聞けば、記号の暗記から実際の演奏へ話を進められます。分からない場合は、該当箇所の前後も含めて楽譜を見せてください。
最後に「小さい音符を弾いた」「主音に入れた」の二点を分けて確認します。速く弾くことだけを目標にせず、次の音楽の流れを保てるように練習しましょう。
参考資料
- Steinberg — Dorico Elements 6.1「Grace note slashes」 https://www.steinberg.help/r/dorico-elements/6.1/en/dorico/topics/notation_reference/notation_reference_grace_notes/notation_reference_grace_notes_slashes_c.html
確認日:2026-10-10